ティラミスと雷オヤジとリアル雷
いつでも元気に作っております、鹿吉です。
こんにちは!
本日より販売開始いたしました、期間限定商品「ティラミス」でございます。
マスカルポーネをたっぷりと使用し、本場イタリアらしくフィンガービスケットを敷き詰めた初夏に嬉しいスイーツでございます。
ヴァローナのココアを使用したことにより、非常に香り高いティラミスが出来ました。さっくりとスプーンで掬って召し上がれば、ジメジメとした気分も上がるかと存じます!!!
是非一度ご賞味くださいませ~♪
さて本日は私が小学5年生のときのお話をひとつ。
当時、中学生は部活動、小学生はクラブ活動が必須とされておりました。
小学生のクラブ活動は3年生から、と決まっておりまして、活発に動く癖に自由を制限される団体行動が苦手だった私は夏しか活動しない、というごくごく馬鹿らしい理由で水泳クラブに所属することにしました。
泳ぐことも好きでしたし、夏の暑いときに率先して水遊びができるなんてある意味夢のようなクラブです。
ですが、そういう邪な考えの生徒が多いことを懸念した学校サイドがクラブ顧問にこれはまた見事な脳筋おやじ先生を据えたんです。
彼の特技は怒鳴ること。
そして彼なりの正義を翳し、生徒だけでなくその親や果ては同僚の先生から校長先生までを巻き込んで騒ぎを起こすことでした。
彼に理屈は通じません。
すべてを屁理屈と捉え、彼の正義による破綻した理論を振りかざして断罪するのです。
当然、彼を好きだという生徒は少なかったです。
ただ、その正義に救われた生徒もなくはなく、一部からは神聖視される程度には彼独特の正義も役には立っておりました。荒いだけで基本は優しい人だったのだと、今なら思います。
当時の小学校はいじめが横行しておりまして、女子だけでなく男子からのいじめも数多くありました。
私の友人もなぜか特定の男子からのいじめに悩まされておりまして、女子のいじめと違って男子のいじめは陰湿でない分、かなり直接的な嫌がらせが多いのが特徴でした。
そのときの流行は「靴隠し」
それもゴミ箱に捨ててある、とかの可愛らしいものではなく、なんと体育館の屋根に投げて乗せる、という大胆なもの。
可愛らしい赤のスニーカーが体育館の屋根に引っかかっているのが見えてはいても取ることも出来ず、友人と二人、呆然と見上げていたところ、脳筋おやじ先生が颯爽と現れて、するすると屋根に上り、屋根から靴を投げ落として、事なきを得たこともありました。
誤解されやすいだけで、悪い人ではなかったのだと思います。
そんな脳筋おやじ先生は脳筋だけあって体育会系のスパルタ脳を持っている人でした。
夏休みのある日、台風も近付いてる荒れた天気の日のことです。
夏休み中毎日のように行われる水泳クラブの練習は過酷を極めておりました。
25Mプールを何往復もさせられ、少しでも休憩していればプールに突き落とされる地獄のレッスンが続いておりまして、もうヘロヘロのヨレヨレになる毎日でした。
ですから台風接近の知らせにこの日くらいは練習が休みなるだろうと私は安堵の吐息を漏らしました。
しかし私の認識が甘かったのです。
雨が降ろうが風が吹こうが竜巻が発生しようが脳筋おやじ先生にはまったく関係なかったのです。
水泳クラブの練習は本日も実施する、という電話連絡が先生から直接各家にされ、私たちクラブ員は風が巻き、雨が打ち付ける中、しょんぼりとして学校へと向かうことになりました。
母は心配してニュースとにらめっこしながらこれから台風で大変になる予報が出ているのだから休みにするように何度も提案してくれましたが、脳筋おやじ先生は聞く耳持たず…
私たちは雨風の中、いつものように必死で泳ぐことになりました。
息継ぎをしても雨で呼吸がしにくく、冗談でなく死ぬんじゃないか、と何度も思うほど過酷な練習でした。水面から顔を出しても水攻め、状態ですから、ちょっとした拷問です。
脳筋おやじ先生の指導の下、泳がされていた私たちの頭上がにわかに掻き曇り、暗雲垂れ込める、いかにも怪しい空模様に変化してきました。
まだ明るいはずの昼下がりなのに、太陽の光さえ通さないような分厚い真っ黒な雲が空一面に広がり、恐怖を覚えるほどです。
そんな中でもプールの監視台に座った脳筋おやじ先生は怯む私たちに檄を飛ばしながら練習を続けるように怒鳴っていましたが、教頭先生が慌てた様子で走ってきて脳筋おやじ先生にすぐに練習をやめるようにと指示を出したのです。
暫く脳筋おやじ先生は抵抗しておりましたが、必死の説得が効いたらしく、かなり渋々といった様子で私たちにプールから上がるようにと言いました。
恐怖と寒さで震えていた私たちはすぐさま水から飛び出るとプールサイドに建つボロボロの小屋(着替え室)に飛び込みました。
一番最後に私が小屋へと飛び込み、建付けの悪い引き戸を閉めようとしたときでした。
轟音とともに雷がプールに落ちまして、水面を青白い稲妻がバチバチと走るのを目撃したのです。
教頭先生と一緒に校内へと戻ろうとしていた脳筋おやじ先生が驚きに振り返ります。私も引き戸を少し開けた状態で固まりました。あのままプールにいたら、私たちは絶対に感電していたはずです。それこそ雷が全身を貫くような衝撃とともに言いしれない恐怖に包まれました。
九死に一生を得るとはまさにこのことだ、と今も思っている私にございます。
本日もありがとうございました~!!!